日本のマスコミは、「台湾危機」が迫っていて中国が台湾に武力侵攻するようなことになれば、日本は「存立危機事態」に落ち入り大変なことになる、と日本国民を不安に陥れる自公政府やアメリカの報道ばかりを頻りに報道し、大軍拡を批判的に取り上げるようなことは何もしないし、国民が考えて判断できる情報を何も与えてくれない。だから現在の中台関係を知っておくことは非常に重要なことである。
専門家ではない人間が中台関係について知るには、残念ながら、十分な情報があるとは言えないが、以下の論文が適当だろうと思い、目を通してみた。
要約
蔡英文政権における中台関係の緊張とジレンマ
立命館国際地域研究
駒見一善2016年の台湾総統選挙で蔡英文・民進党候補が当選し、同年5月に蔡英文政権が発足した。 中国と一定の距離を置く対中政策を主張する蔡英文政権の誕生で、中台関係は新しい段階に入った。 蔡英文政権は、政権運営にあたって台湾人の大多数が中国と台湾の「統一独立」について「現状維持」を求めていることを踏まえ、「現状維持」を前提に中台関係の安定を求める姿勢を示した。 蔡英文総統が就任演説で示した中台関係に対する基本姿勢は、中台がともに「一つの中国」に属することを前提している「中華民国憲法」に基づく現行憲政体制の維持することであり、直接的な言及を避けつつも「1992年に両岸の両会が相互理解と求同存異との政治的姿勢を堅持し、意思疎通の話し合いを行い、若干の共通の認識と了解に達しており、私はこの歴史的事実を尊重する」という言葉を通じて、「92年コンセンサス」が生まれたとされる1992年の中台交渉に関わる事実関係について尊重する姿勢を示し、中国側に一程度の配慮を示した表現と見ることができる。 しかし、中国側の反応は書き終えていない未完成の答案」との認識を示し、「92年コンセンサス」を正面からは受け入れない蔡英文総統の曖昧な姿勢に不満を表明した。 台湾人の「統一独立」問題について「現状維持」を求める声が最も多く、「独立」、「統一」ともに少数派である。 蔡英文政権は、中国との一定の距離を保ちつつ、中国からの切り崩しはますます強化される中で、中台関係の安定を図り、「現状維持」を守っていかなければならない。 一方、中国は蔡英文政権に対して「92年コンセンサス」の直接的な表現での受入を求めており、中台関係における主導権を握り、台湾に対して様々な圧力をかけている。 中国には、蔡英文政権に「92年コンセンサス」を直接的に受け入れさせ、「平和統一」に向けて具体的で有効な手段がないことも露呈された。 2018年11月24日、蔡英文政権の「中間テスト」と目され、2020年総統選挙の前哨戦となる台湾統一地方選挙が行われ、与党民進党は、現有の13県市長のポストを6に減らす大敗となった。
中国は国民党の馬英九政権のときは政府間の交流とともに経済的な交流も推し進めたが、民進党の蔡英文政権になると、馬英九政権のときに両政府が一つの中国を認めた「92年コンセンサス」を蔡英文政権があいまいにしている、と非難し政府間交流は止まったが経済交流は拡大している。民進党政権が台湾を独立させるには、中華民国憲法を改定せざるを得ず、国民の大多数が現状維持を望んでいる状態では、台湾独立を主張出来ないでいる。
だから中国は台湾に様々な圧力を掛けて「いじめ」るが、中国軍が台湾に武力侵攻するような状態ではない。
むしろ考えられるのは、アメリカと日本が意図的な軍事衝突引き起こし、「台湾危機」を演出し挑発することだ。
そのような目論みを打ち砕き日本の平和を維持するには、大軍拡にたいする批判を日本国民のあいだに少しでも拡げて、侵略軍に変貌しつつある自衛隊に憲法を守らせて、専守防衛に引き戻させることだろう。戦争シミュレーションでは自衛隊が加わらないと米中戦争はアメリカが負け、米中戦争もできなくなる。
中国と台湾の経済がいかに強い関係にあるかを示す中台の貿易統計については、後日触れることにする。
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