2020年10月23日金曜日

白リン弾

白リン弾について調べてみたら

今回の東富士演習場で行われている在日沖縄米海兵隊の沖縄104号線越え実弾砲撃訓練でも155ミリ榴弾砲で白リン弾が多く使われているが、白リン弾について調べてみた。

Wikipediaでは「焼夷効果を持つ場合もある」が「陸上自衛隊では、白リン弾を発煙弾としてのみ装備している。」と記述している。

Wikipediaの記述はこちら。)

しかし、このような捉え方は極めて問題があり、 「白リン弾にはかなりの危険があり、単に煙幕を発生させるだけではありません。」 と指摘がなされているので、この一文をよく読んでみるとよい。

Wikipediaの記述は軍事オタクのものと推定され、「軍事オタクの最大の欠点は「物」しか見ることができず、戦争という問題において最も配慮すべきである「人間」について考えることができないところです。」「白リン弾は国際条約(文末に掲載)によって禁止されていません。しかし、人口密集地への焼夷兵器の使用は、いかなる場合にも禁止されています。」とも指摘している。そのような白リン弾を多く使うことはたとえ軍事演習とはいえ許されることではありません。

かつてて紙智子参議院議員が平成二十一年の矢臼別演習場での沖縄県道一〇四号線越え移転訓練で白リン弾を使用したことで政府に「白リン弾の使用禁止に関する質問主意書」を提出している。

今回の軍事演習でもまた大量の白リン弾が使用された。抗議したい。

2014年の在沖縄海兵隊の県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施の動画

2014年の在沖縄海兵隊の県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施の動画を集めてみました。

米海兵隊が自分たちの軍事演習の動画を公開しているのはどのように考えたらよいだろうか。

  • 在沖縄海兵隊の実弾射撃・移転訓練 北富士演習場 (県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施) 155mm榴弾砲-USA Military Channel

    2014年11月に山梨県の陸上自衛隊・北富士演習場で行われた、沖縄県のキャンプ・ハンセンに駐留する第3海兵師団・第12海兵連隊の実弾射撃訓練(M777 155mm榴弾砲) キャンプ・ハンセンでの155mm榴弾砲による実弾射撃訓練では、演習場の中を通る県道104号線を封鎖して行うため、沖縄の基地負担軽減を目的に1997年から本土5か所の陸上自衛隊演習場に分散して実施している、「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施」と呼ばれる訓練

    移転訓練が行なわれるのは5ヶ所の陸上自衛隊の演習場:矢臼別(北海道)・王城寺原(宮城県)・北富士(山梨県)・東富士(静岡県)・日出生台(大分県)

    今回の北富士演習場での訓練は平成26年度(2014年)では3回目(毎年4回行なわれる)、2015年2月中旬~3月中旬に日出生台演習場(大分県)で4回目の移転訓練が行なわれる

    来年度(平成27年)の移転訓練日程

    1. 第1回:王城寺原演習場 平成27年 5月下旬~6月下旬
    2. 第2回:東富士演習場 平成27年 9月上旬~10月上旬
    3. 第3回:矢臼別演習場 平成27年11月中旬~12月中旬
    4. 第4回:日出生台演習場 平成28年 2月上旬~3月上旬
  • 米海兵隊の実弾射撃演習・矢臼別演習場(北海道) 155mm榴弾砲(M777) [HD] - USA Military Channel

    014年8月24日~9月4日まで行われた在日アメリカ海兵隊の実弾射撃演習。北海道:陸上自衛隊 矢臼別(やうすべつ)演習場第3海兵遠征軍 第3海兵師団 第12海兵連隊(キャンプ・ハンセン駐留) M777 155mm榴弾砲。

  • ついでに北海道新聞の動画も

    実弾射撃訓練を公開 矢臼別演習場 北海道新聞 動画ニュース

    陸上自衛隊矢臼別演習場(根室管内別海町、釧路管内厚岸町、同浜中町)で行われている、沖縄駐留米海兵隊による実弾射撃訓練が8月3日、自治体や報道関係者に公開された。155ミリりゅう弾砲4門が轟音を響かせ16発を放った。

2020年10月22日木曜日

米軍東富士演習場・今沢基地訓練と小型核兵器投下訓練の動画等

東富士104訓練の報道

しんぶん赤旗の記事がありました。

他の新聞には見当たりませんでした。

以前の米軍東富士演習場・今沢基地訓練と小型核兵器投下訓練の動画

  1. 富士山で物資の空中投下訓練を行う米空軍C-130Jスーパーハーキュリーズ -USA Military Channel

    去年の秋に富士川河口西岸の河川敷でたまたま見た富士川に沿って駿河湾に抜けていった3機のC130はこの訓練のあと横田基地に帰投するところだったのかもしれません。箱を投下してますが、箱の中にはどんな銃火器が収められているのだろうか。

  2. 新型核爆弾「B61-12」投下試験 (F-35に搭載可能) - Nuclear Bomb "B61 Mod 12" Drop Test

    核兵器禁止条約を一刻も早く実現したいものです。核兵器は使わせてはなりません。

  3. AAV7水陸両用装甲車の訓練・今沢基地(沼津市) 陸上自衛隊 [HD] - USA Military Channel

    陸上自衛隊が米軍から指導を受けているようです。

  4. 米軍今沢基地での上陸演習(2017年5月・6月)

    沼津市平和委員会が監視して制作した動画です。

  5. 日米合同LCAC揚陸訓練 静岡県今沢演習場 2017.8.29

    米軍は後半に出てきます。船体の表示と誘導している米軍兵士に注意。

2020年10月15日木曜日

沼津海浜訓練場(米軍施設)を訪ねて

今沢海岸にある沼津海浜訓練場を見てきた。わが国の米軍基地や演習場のリストには出てこないが、ここは米軍施設である。近頃どうなっているのかを知りたくて初めて行ってみた。

ここは千本松原の一角だが、高さ17メートルの巨大な防潮堤がゲート(西ゲートと呼ぶことにする)でポッカリ口を開けている。ガードマン氏がいたので聞いてみたところ、ここが訓練場でここから少し西に行ったところでいま導水管の工事を行っているとのこと。ゲートを出たところは工事ヤードになっていて通り抜けできないけれど入って見てもよいというので写真を1枚撮ったがここからでは海までの地形がわからない。

ここからすぐ近くの千本街道に向けて100メートルほどの道(軍用道)が伸びている。

ガードマン氏に聞いたところ防潮堤に上がって東の側に海岸に降りることができるところがあるというので行ってみた。

海から写真手前の砂浜を登って右奥の白く見える西ゲートをくぐると上陸できるようになっている。兵員と上陸した軍用車両はここから西ゲートをくぐって市中に入っていくのだろう。軍事オタクの撮ったyoutubeにある動画をみると、このあたりに上陸して訓練していたと思われる。

東側ゲートもあるので行ってみた。

これは海岸側から見た写真だが、こちらのゲートは閉まっている。手前にコンクリートブロックがあり、先ほどの西側ゲートに上るルートを通らないと海岸から東側ゲートには行けないようになっているようだ。

防潮堤の内側から東ゲートを見る。ゲートは写真の奥にあるが閉まっている。

こちらの取り付け道路はこんな様子。ここからも奥に千本街道が見える。

東ゲートの近くに沼津市の非核都市宣言の看板があり印象深い。

先ほどのガードマン氏に聞いてみたところ、ネットでは見つけたという誰かのアップロードした写真があったが、施設の存在を示す看板は今はないようだ。

昔は施設(建物かな?)があったという西ゲートの近くで松原の中にあるところも教えてもらった。枕木のような杭が区画の周りをとり囲んでいる。

海上自衛隊の輸送艦から巨大なホバークラフトのLCAC(上陸用舟艇)がこの海岸に上陸する訓練をときどき行っている。今年の9月にも2隻のLCACを使って終日訓練をしたようだ。米軍海兵隊も上陸演習を行っている、そのときにはオスプレイだけでなく何かよくわからない飛行機(軍用ヘリや輸送機かな?)が上空にやってきてすごかった、と先ほどのガードマン氏の話。ゲートをくぐって行うような演習はやられていない、そんなことしたら千本街道の道路がダメになっちゃうとも。

演習のようすはyoutubeで検索して探すとたくさん見ることができる。軍事オタクの動画とは別に沼津市平和委員会のものもあるので見てみるとよさそうだ。

結論。この地域以外では関心のあるに人しか知られてないようだが、沼津海浜訓練場はいまだに使い続けられている米軍演習施設であり、自衛隊が継続的に訓練している。

2020年10月10日土曜日

日本学術会議の6名の新期会員の政権による任命拒否について

日本学術会議の新会員のうち6名がスガ政権に任命拒否され、国内はもとより世界的にも問題視されている。6名はアベ政権のときに政策に批判的な発言をしてきたひとだ。そもそも日本学術会議の会員がどのような仕組みで選ばれているのかについてあまり知られていない。

日本学術会議会員の選出方法:(NHK報道)

現在では学会ではなく(ボス支配されている学会からの推薦が問題視されて以来)、210人の現役会員とおよそ2000人の連携会員が(関連の学術団体の協力を得て)、「優れた研究又は業績がある」科学者を、それぞれ推薦し、その後、選考委員会を経て学術会議が最終的に推薦する候補者を絞り込む(学術会議総会の議を経て学術会議会長が内閣総理大臣に推薦する)仕組みで、総理大臣が任命する規定は維持されてきた。かっこ()内は当方が補足した部分。

報道内容はここを参照

日本学術会議の会員候補の選任方法はここを参照。

だから学問分野の代表的な研究者がその分野の多くの研究者による合意のもとに推薦されているのである。学術会議会員になると所属する学問分野の代表として学問の発展のために働くことになる。

天文学者である海部宣男氏の記事(天文月報2019年7月)が参考になる。

6名の任命拒否にあった人について差し替えればよいなどと考えることは、6名の研究者の上げてきた学問研究の成果だけでなく自由であるべき学問研究とそれを評価することさえも政治権力で否定する暴挙である。さらに6名の所属する学問分野の選任に当たった人たちの評価をも否定することになり、総会で採択に参加した学術会議会員全員の意思をも否定するものである。

日本学術会議法では

第七条 2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。

となっている。第七条 2の「推薦に基づいて」は恣意的なものを許さない強い表現である。

残念だが半可通としか言いようのない論点のずれた日本学術会議を批判する文章がインターネットに見られる。

2020年10月7日水曜日

軍事研究、学問の自由と日本学術会議

WEB論座にドイツ在住物理学者林正彦氏の一文。学問の自由についてのドイツの人たちの考え方を紹介していて、日本の政権の「民度」の低さがよくわかります。地位協定の問題にも通底していると言って良いでしょう。

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板垣名誉教授に聞いた朝日新聞の記事。学術会議が行っている最も重要な海外アカデミーとの交流事業について述べています。学術会議の予算の大半が国際的な学術団体を支えるために使われています。

日本学術会議が推薦した新会員候補のうち6人を菅義偉首相が除外したことに波紋が広がっている。2003年まで同会議の第1部(人文科学)の部長などを務め、現行制度への改革にも関わった板垣雄三・東大名誉教授(歴史学)=諏訪市在住=は「6人の問題では全くない」と指摘する。何が問題なのか、

学問への介入か 繰り返す慣例破り、問われる政権の姿勢

――板垣さんが日本学術会議の会員だったのは1994年からの9年間でした。

日本学術会議とは。

 日本の研究者全体を代表する組織(アカデミー)です。海外アカデミーとの国際交流協力や、国内諸学会の連携・協業の促進、新領域や研究者のあり方の調査など多面的な活動をしています。「政府の諮問機関」と表現する報道もありましたが、違います。政府に報告・提言するためだけの機関ではありません。

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むかし日本学術会議の会員が選挙で選ばれていたころペイペイの一駆け出しの研究者として一票を投じたことがありました。その後中曽根内閣の時に日本学術会議は学協会の推薦に変えられてしまいました。学術会議が政権の言うことを聞かない存在で、政府の科学技術政策の諮問は学術会議ではなく科学技術会議(その後総合科学技術会議へ、現在は総合科学技術・イノベーション会議と改組)にするようにして学術会議を骨抜きにしていったと記憶しています。科学研究費もご存知のように政府の意向が強く働き重点配分からさらには競争的な配分に変わっていきました。

アベ・スガ政権の人事権を通しての省庁へ支配が強引に進められていったのに学術会議には手を付けることができませんでした。おそらく今回の件では6人の発令拒否にあった人は政権を支持するアベ・スガ信者たちを納得させるターゲットにさせられたのではないかと思います。スガは学術会議も人事権で支配してコントロールしようともくろんでいるのではないでしょうか。(それがうまくいかなければ学術会議法を変えて改組し政府のコントロール下に置けるようにするかもしれません。)今まで学術会議を軽視しし提言を無視してきたので政権の政策に影響を与えることはありませんでしたと誰かが言っていましたが、考えられるのは軍事研究の推進にとって重大な障害になることです。

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軍事研究について一言。防衛省からの補助金を貰うと研究テーマが直接には軍事技術とは遠いテーマであったとしても、年度を重ねるうちに防衛省が補助金を出すテーマに注文が付けられて、次第に軍事技術そのもののテーマに変えられていく懸念が非常に強くなります。一度防衛省からの補助金を貰うと研究を継続していくために研究テーマが防衛省側にコントロールされてしまいます。しかも研究成果を論文として発表する際に防衛省の許可が必要になり、軍事機密ということになると論文として発表ができなくなります。当然その研究者の研究論文のリストからは外され、研究実績になりません。研究者は研究実績によって評価されますので大変に困ったことになります。軍事研究は一旦組み込まれると防衛省から出される研究費によって縛られて研究者を死に至らせる麻薬のようなものです。だから軍事研究の問題点はそれが人を殺すための研究であるという倫理的な問題だけではありません。

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最近の本なのでまだ読んでいませんが池内了「科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか」(みすず書房)はこの問題を知るうえで好書と思います。