2020年4月4日土曜日

羽田空港の新しいルート

杉江弘さんの講演/インタビュー動画

まえおき

問題は北から羽田空港への侵入ルートが世界の他の空港では例のない急な進入角度3.45度であること、それはまるで落下するジェットコースターのようです、と杉江さんはいう。2本のルートのうち西側の1本が横田空域を通過するため、そのルートが米軍から横田空域を通過する高度を米軍機の演習に支障がないように、約1100メートル(3800フィート)以上のルートをとるように米軍から求められた(まさに安保条約と地位協定の問題)。しかし主権をアメリカに奪われている横田空域の問題を隠すために国土交通省は、ルート下の住民の騒音被害をできるだけ少なくするためとウソの説明をした。騒音問題の専門家に聞くと、そうしても低減効果は1.3デシベル程度で、人間の耳では違いを感知できないという。もう1本の東側のルートは横田空域を通らないので世界の他の空港と同様な3度以下の進入角度にできるが、そうすると騒音被害という理由のウソがばれるので、2本のルートとも同じ進入角度にした。大型航空機はスピードを下げるのが大変で、急角度の進入は着陸時にしりもち事故など重大事故を起こしやすいそうだ。

航空機の整備をしっかり行うと経費が嵩んで経営が成り立たないので、民間の航空機は飛行中に部品の落下事故を起こすのはある程度はやむを得ない。海上を飛行しているときには落下してもさして問題にならないが、都市上空を飛行するときには住民に大きな被害を与えてしまう。部品の落下事故の多くは飛行機の離陸時と着陸時に起こる。離着陸時には飛行機のエンジンをふかすのでその振動で部品がはがれ落ちる、と杉江さんはいう。

要するに、部品落下事故を避けるために都市上空の飛行はできるだけ避けなければならないし、さらに急角度の進入は事故を起こしやすく、都市で墜落事故が懸念される、ということだ。

杉江さん曰く、そもそも郊外に移した国際空港を再び都市部に戻すのは日本だけ。世界のトレンドに逆行します。羽田の再国際化は外圧ではなく、あくまで日本政府の意向です。カジノ誘致に新滑走路建設と利権の噂も絶えない中(*)、なし崩しの航空行政は許されません。

(*)どの国際空港から都市までのアクセスも時間がかかることは当たり前で、観光客もそれに不満を示したりはしない。ところがカジノの客はカジノだけが目的で来るので、空港からカジノ場までのアクセス時間がかかるのでは客を多く呼べない、そこで羽田空港の国際線を増やしてカジノの客を呼び込もうという魂胆なのだろう、と杉江さんは想像する。

朝日新聞の動画を見ると、旅客機が高層ビルの間を縫うように羽田空港に向けて高度を下げているようだ。

関連書

東京新聞関連記事

国土交通省の説明

2020年3月27日金曜日

オスプレイ12機訓練へ/東富士演習場 29日から最大規模

陸上自衛隊東富士演習場(静岡県御殿場、裾野両市と小山町)で米軍が、29日から過去最大規模のオスプレイ12機の訓練を予定していることを livedoorニュースが報道しています。

今日(3月27日)付けのしんぶん赤旗でも報道しています。

新型コロナの感染者がアメリカ本土で急速に増えていて、その数が中国の感染者数を上回っているし、米軍兵士の中に感染が蔓延しだしているというのに、演習を中止せずにやるのかね。

在日米軍と日米地位協定と新型コロナ(続)

琉球新報に同じことを懸念している記事があった。全国的な報道機関はこのことをもっと報道すべきではないか。

在日米軍と日米地位協定と新型コロナ

日米地位協定の

第五条

2. 1に掲げる船舶及び航空機、合衆国政府所有の車両(機甲車両を含む。)[*] 並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用 している施設及び区域に出入し、これらのものの間を移動し、及びこれらのも のと日本国の港又は飛行場との間を移動することができる。(後略)

*合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国 のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの

となっている。つまり、新型コロナで日本国内への出入りの検疫をいくら強めても、米軍兵士や軍属と彼らの家族は在日米軍基地に国外から自由勝手に入ってくるし、基地から日本の市中にも自由に出入りできるし、今までそうして来ている。

今まで懸念していたが、jiji.comにこんな記事が出た。

予想さるように米軍にも新型コロナは広まっている。

また沖縄タイムズの報道では、「在沖米軍基地における訓練について、沖縄県内外からの移動は禁止するものの、今後の訓練予定などは状況に即して判断する」と国防総省当局は語っている。

さらに琉球新報の記事では「沖縄の米軍トップが動画で予防呼び掛け、行動制限もしている。」とある。

新型コロナを絶対に在日米軍基地から日本国内に持ち込まないで欲しいものだ。

2020年3月10日火曜日

地位協定関係の文書その1

沖縄県の地位協定ポータルサイトはここです

日米地位協定に関する沖縄県が発信している様々な文書を見ることができます。網羅的にあります。是非ご覧になってください。

沖縄県知事公室 基地対策課もご覧ください

他国地位協定調査 

(他国地位協定調査)はここにあります。

機密文書「地位協定の考え方」

琉球新報社刊「日米地位協定の考え方―外務省機密文書 (日本語)」の本文と同じものです。

2020年3月6日金曜日

哲学者の生きざま

 あまりにも有名なドイツの哲学者マルチン・ハイデガー(1889年~1960年)。ナチスが台頭する以前からすでに有名な哲学者として活躍していたが、ナチスの時代にナチスの思想に心酔しナチス党員となり、ナチスのプロパガンダに深くかかわってきた。しかし第2次大戦敗戦後にはフランスの占領軍から査問を受けるが寛大な判定を受けて戦後も生きのび、1951年には大学に復職して退官教授となる。

 有名な著書は1917年の『存在と時間』など、ナチスが台頭する前に書かれたものが多い。

 ハイデガーの哲学に心酔するものは今でも世界に多くいる。しかしハイデガーの哲学をどう評価するかが依然と大きな問題であり続けている。支持者からはハイデガーはナチス党員だったけれど、主たる著書はその前に書かれたものであり、それらの著書はナチスとは関係ないのではないか、しかも途中からナチスから離党したという事実もある。

 しかし哲学は哲学者の生きざまとは切り離してはいけない。はたしてハイデガーがナチス党員であったことと彼の哲学は関係しないのか。それにナチス時代にナチスの熱烈な支持者だったことを戦後根本的に反省しているだろうか。その問いに答えたチリー人であるV・ファリアスが著した本の批評が

http://chikyuza.net/archives/88290

にある(<著者:野上俊明(のがみとしあき):ちきゅう座会員/哲学研究>)。ファリアスの本は市の図書館にあったので借りて手に取ったことがあるが、読むのはとても大変で実現していない。批判の対象であるハイデガーの本は全く読む気にならない。

 しかしこの本は、ハイデガーは死ぬまでナチス思想に共感を持ち続けた人物であり、ホロコーストを小さいことと見て、反ユダヤ思想から抜け出さなかった人物だったことが、戦後の文献からも読み取れることを示しているらしい。

 関心のある人は読んでみたらよいかもしれない。ハイデガーは歴史上稀にみる犯罪的な哲学者だったということか。