2020年3月6日金曜日

哲学者の生きざま

 あまりにも有名なドイツの哲学者マルチン・ハイデガー(1889年~1960年)。ナチスが台頭する以前からすでに有名な哲学者として活躍していたが、ナチスの時代にナチスの思想に心酔しナチス党員となり、ナチスのプロパガンダに深くかかわってきた。しかし第2次大戦敗戦後にはフランスの占領軍から査問を受けるが寛大な判定を受けて戦後も生きのび、1951年には大学に復職して退官教授となる。

 有名な著書は1917年の『存在と時間』など、ナチスが台頭する前に書かれたものが多い。

 ハイデガーの哲学に心酔するものは今でも世界に多くいる。しかしハイデガーの哲学をどう評価するかが依然と大きな問題であり続けている。支持者からはハイデガーはナチス党員だったけれど、主たる著書はその前に書かれたものであり、それらの著書はナチスとは関係ないのではないか、しかも途中からナチスから離党したという事実もある。

 しかし哲学は哲学者の生きざまとは切り離してはいけない。はたしてハイデガーがナチス党員であったことと彼の哲学は関係しないのか。それにナチス時代にナチスの熱烈な支持者だったことを戦後根本的に反省しているだろうか。その問いに答えたチリー人であるV・ファリアスが著した本の批評が

http://chikyuza.net/archives/88290

にある(<著者:野上俊明(のがみとしあき):ちきゅう座会員/哲学研究>)。ファリアスの本は市の図書館にあったので借りて手に取ったことがあるが、読むのはとても大変で実現していない。批判の対象であるハイデガーの本は全く読む気にならない。

 しかしこの本は、ハイデガーは死ぬまでナチス思想に共感を持ち続けた人物であり、ホロコーストを小さいことと見て、反ユダヤ思想から抜け出さなかった人物だったことが、戦後の文献からも読み取れることを示しているらしい。

 関心のある人は読んでみたらよいかもしれない。ハイデガーは歴史上稀にみる犯罪的な哲学者だったということか。

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