2020年10月15日木曜日

沼津海浜訓練場(米軍施設)を訪ねて

今沢海岸にある沼津海浜訓練場を見てきた。わが国の米軍基地や演習場のリストには出てこないが、ここは米軍施設である。近頃どうなっているのかを知りたくて初めて行ってみた。

ここは千本松原の一角だが、高さ17メートルの巨大な防潮堤がゲート(西ゲートと呼ぶことにする)でポッカリ口を開けている。ガードマン氏がいたので聞いてみたところ、ここが訓練場でここから少し西に行ったところでいま導水管の工事を行っているとのこと。ゲートを出たところは工事ヤードになっていて通り抜けできないけれど入って見てもよいというので写真を1枚撮ったがここからでは海までの地形がわからない。

ここからすぐ近くの千本街道に向けて100メートルほどの道(軍用道)が伸びている。

ガードマン氏に聞いたところ防潮堤に上がって東の側に海岸に降りることができるところがあるというので行ってみた。

海から写真手前の砂浜を登って右奥の白く見える西ゲートをくぐると上陸できるようになっている。兵員と上陸した軍用車両はここから西ゲートをくぐって市中に入っていくのだろう。軍事オタクの撮ったyoutubeにある動画をみると、このあたりに上陸して訓練していたと思われる。

東側ゲートもあるので行ってみた。

これは海岸側から見た写真だが、こちらのゲートは閉まっている。手前にコンクリートブロックがあり、先ほどの西側ゲートに上るルートを通らないと海岸から東側ゲートには行けないようになっているようだ。

防潮堤の内側から東ゲートを見る。ゲートは写真の奥にあるが閉まっている。

こちらの取り付け道路はこんな様子。ここからも奥に千本街道が見える。

東ゲートの近くに沼津市の非核都市宣言の看板があり印象深い。

先ほどのガードマン氏に聞いてみたところ、ネットでは見つけたという誰かのアップロードした写真があったが、施設の存在を示す看板は今はないようだ。

昔は施設(建物かな?)があったという西ゲートの近くで松原の中にあるところも教えてもらった。枕木のような杭が区画の周りをとり囲んでいる。

海上自衛隊の輸送艦から巨大なホバークラフトのLCAC(上陸用舟艇)がこの海岸に上陸する訓練をときどき行っている。今年の9月にも2隻のLCACを使って終日訓練をしたようだ。米軍海兵隊も上陸演習を行っている、そのときにはオスプレイだけでなく何かよくわからない飛行機(軍用ヘリや輸送機かな?)が上空にやってきてすごかった、と先ほどのガードマン氏の話。ゲートをくぐって行うような演習はやられていない、そんなことしたら千本街道の道路がダメになっちゃうとも。

演習のようすはyoutubeで検索して探すとたくさん見ることができる。軍事オタクの動画とは別に沼津市平和委員会のものもあるので見てみるとよさそうだ。

結論。この地域以外では関心のあるに人しか知られてないようだが、沼津海浜訓練場はいまだに使い続けられている米軍演習施設であり、自衛隊が継続的に訓練している。

2020年10月10日土曜日

日本学術会議の6名の新期会員の政権による任命拒否について

日本学術会議の新会員のうち6名がスガ政権に任命拒否され、国内はもとより世界的にも問題視されている。6名はアベ政権のときに政策に批判的な発言をしてきたひとだ。そもそも日本学術会議の会員がどのような仕組みで選ばれているのかについてあまり知られていない。

日本学術会議会員の選出方法:(NHK報道)

現在では学会ではなく(ボス支配されている学会からの推薦が問題視されて以来)、210人の現役会員とおよそ2000人の連携会員が(関連の学術団体の協力を得て)、「優れた研究又は業績がある」科学者を、それぞれ推薦し、その後、選考委員会を経て学術会議が最終的に推薦する候補者を絞り込む(学術会議総会の議を経て学術会議会長が内閣総理大臣に推薦する)仕組みで、総理大臣が任命する規定は維持されてきた。かっこ()内は当方が補足した部分。

報道内容はここを参照

日本学術会議の会員候補の選任方法はここを参照。

だから学問分野の代表的な研究者がその分野の多くの研究者による合意のもとに推薦されているのである。学術会議会員になると所属する学問分野の代表として学問の発展のために働くことになる。

天文学者である海部宣男氏の記事(天文月報2019年7月)が参考になる。

6名の任命拒否にあった人について差し替えればよいなどと考えることは、6名の研究者の上げてきた学問研究の成果だけでなく自由であるべき学問研究とそれを評価することさえも政治権力で否定する暴挙である。さらに6名の所属する学問分野の選任に当たった人たちの評価をも否定することになり、総会で採択に参加した学術会議会員全員の意思をも否定するものである。

日本学術会議法では

第七条 2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。

となっている。第七条 2の「推薦に基づいて」は恣意的なものを許さない強い表現である。

残念だが半可通としか言いようのない論点のずれた日本学術会議を批判する文章がインターネットに見られる。

2020年10月7日水曜日

軍事研究、学問の自由と日本学術会議

WEB論座にドイツ在住物理学者林正彦氏の一文。学問の自由についてのドイツの人たちの考え方を紹介していて、日本の政権の「民度」の低さがよくわかります。地位協定の問題にも通底していると言って良いでしょう。

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板垣名誉教授に聞いた朝日新聞の記事。学術会議が行っている最も重要な海外アカデミーとの交流事業について述べています。学術会議の予算の大半が国際的な学術団体を支えるために使われています。

日本学術会議が推薦した新会員候補のうち6人を菅義偉首相が除外したことに波紋が広がっている。2003年まで同会議の第1部(人文科学)の部長などを務め、現行制度への改革にも関わった板垣雄三・東大名誉教授(歴史学)=諏訪市在住=は「6人の問題では全くない」と指摘する。何が問題なのか、

学問への介入か 繰り返す慣例破り、問われる政権の姿勢

――板垣さんが日本学術会議の会員だったのは1994年からの9年間でした。

日本学術会議とは。

 日本の研究者全体を代表する組織(アカデミー)です。海外アカデミーとの国際交流協力や、国内諸学会の連携・協業の促進、新領域や研究者のあり方の調査など多面的な活動をしています。「政府の諮問機関」と表現する報道もありましたが、違います。政府に報告・提言するためだけの機関ではありません。

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むかし日本学術会議の会員が選挙で選ばれていたころペイペイの一駆け出しの研究者として一票を投じたことがありました。その後中曽根内閣の時に日本学術会議は学協会の推薦に変えられてしまいました。学術会議が政権の言うことを聞かない存在で、政府の科学技術政策の諮問は学術会議ではなく科学技術会議(その後総合科学技術会議へ、現在は総合科学技術・イノベーション会議と改組)にするようにして学術会議を骨抜きにしていったと記憶しています。科学研究費もご存知のように政府の意向が強く働き重点配分からさらには競争的な配分に変わっていきました。

アベ・スガ政権の人事権を通しての省庁へ支配が強引に進められていったのに学術会議には手を付けることができませんでした。おそらく今回の件では6人の発令拒否にあった人は政権を支持するアベ・スガ信者たちを納得させるターゲットにさせられたのではないかと思います。スガは学術会議も人事権で支配してコントロールしようともくろんでいるのではないでしょうか。(それがうまくいかなければ学術会議法を変えて改組し政府のコントロール下に置けるようにするかもしれません。)今まで学術会議を軽視しし提言を無視してきたので政権の政策に影響を与えることはありませんでしたと誰かが言っていましたが、考えられるのは軍事研究の推進にとって重大な障害になることです。

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軍事研究について一言。防衛省からの補助金を貰うと研究テーマが直接には軍事技術とは遠いテーマであったとしても、年度を重ねるうちに防衛省が補助金を出すテーマに注文が付けられて、次第に軍事技術そのもののテーマに変えられていく懸念が非常に強くなります。一度防衛省からの補助金を貰うと研究を継続していくために研究テーマが防衛省側にコントロールされてしまいます。しかも研究成果を論文として発表する際に防衛省の許可が必要になり、軍事機密ということになると論文として発表ができなくなります。当然その研究者の研究論文のリストからは外され、研究実績になりません。研究者は研究実績によって評価されますので大変に困ったことになります。軍事研究は一旦組み込まれると防衛省から出される研究費によって縛られて研究者を死に至らせる麻薬のようなものです。だから軍事研究の問題点はそれが人を殺すための研究であるという倫理的な問題だけではありません。

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最近の本なのでまだ読んでいませんが池内了「科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか」(みすず書房)はこの問題を知るうえで好書と思います。

2020年9月16日水曜日

日米地位協定の関連するyoutube動画その3

テレビ朝日の報道ステーション(2016年12月14日)で、日米合同委員会の正体を探る特集があり、主に米兵の犯罪に焦点を当てている。鳩山由紀夫元首相さえ就任当時日米合同委員会の存在を知らされず、しかも首相の知らぬところで日米合同委員会で日本に関わることが決められていたことを明かしている。その日米合同委員会の日本側の主要委員を務めたであろう丹波實という元外務審議官の発言がウソと対米従属に汚くまみれた外務官僚の姿を明らかにしている。それに比して元アメリカ政府高官のモートン・ハルペリンの発言のほうがより率直である。ジャーナリストの後藤兼二が丹波発言を批判し打ち消している。後半では沖縄だけでなく横須賀でもあった、米海軍兵士のオーストラリア人でファッションモデルの女性に対するレイプ事件について、被害女性本人が自ら登場して裁判で戦い続けた経緯を語る姿も注目された。

2020年4月4日土曜日

羽田空港の新しいルート

杉江弘さんの講演/インタビュー動画

まえおき

問題は北から羽田空港への侵入ルートが世界の他の空港では例のない急な進入角度3.45度であること、それはまるで落下するジェットコースターのようです、と杉江さんはいう。2本のルートのうち西側の1本が横田空域を通過するため、そのルートが米軍から横田空域を通過する高度を米軍機の演習に支障がないように、約1100メートル(3800フィート)以上のルートをとるように米軍から求められた(まさに安保条約と地位協定の問題)。しかし主権をアメリカに奪われている横田空域の問題を隠すために国土交通省は、ルート下の住民の騒音被害をできるだけ少なくするためとウソの説明をした。騒音問題の専門家に聞くと、そうしても低減効果は1.3デシベル程度で、人間の耳では違いを感知できないという。もう1本の東側のルートは横田空域を通らないので世界の他の空港と同様な3度以下の進入角度にできるが、そうすると騒音被害という理由のウソがばれるので、2本のルートとも同じ進入角度にした。大型航空機はスピードを下げるのが大変で、急角度の進入は着陸時にしりもち事故など重大事故を起こしやすいそうだ。

航空機の整備をしっかり行うと経費が嵩んで経営が成り立たないので、民間の航空機は飛行中に部品の落下事故を起こすのはある程度はやむを得ない。海上を飛行しているときには落下してもさして問題にならないが、都市上空を飛行するときには住民に大きな被害を与えてしまう。部品の落下事故の多くは飛行機の離陸時と着陸時に起こる。離着陸時には飛行機のエンジンをふかすのでその振動で部品がはがれ落ちる、と杉江さんはいう。

要するに、部品落下事故を避けるために都市上空の飛行はできるだけ避けなければならないし、さらに急角度の進入は事故を起こしやすく、都市で墜落事故が懸念される、ということだ。

杉江さん曰く、そもそも郊外に移した国際空港を再び都市部に戻すのは日本だけ。世界のトレンドに逆行します。羽田の再国際化は外圧ではなく、あくまで日本政府の意向です。カジノ誘致に新滑走路建設と利権の噂も絶えない中(*)、なし崩しの航空行政は許されません。

(*)どの国際空港から都市までのアクセスも時間がかかることは当たり前で、観光客もそれに不満を示したりはしない。ところがカジノの客はカジノだけが目的で来るので、空港からカジノ場までのアクセス時間がかかるのでは客を多く呼べない、そこで羽田空港の国際線を増やしてカジノの客を呼び込もうという魂胆なのだろう、と杉江さんは想像する。

朝日新聞の動画を見ると、旅客機が高層ビルの間を縫うように羽田空港に向けて高度を下げているようだ。

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