7月35日付けの「米中対立は日本の政権が積極的に煽っているのか?」と9月11日付けの「台湾有事は切迫しているか?」に続いて、極めて危険な麻生太郎発言を追う。
麻生氏は7月5日の講演で、台湾海峡情勢をめぐり「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と述べた。例えば朝日新聞の記事。
これに対し、中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の定例会見で、麻生太郎副総理兼財務相が、台湾海峡情勢が悪化した場合に集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたる可能性に言及したことについて、「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、日本側に抗議したと明らかにした。朝日新聞7月8日の記事。
また、駐日中国大使館報道官も、日本政府要人の台湾に関する誤った発言を強く批判した。在日中国大使館のWebページ。
前トランプ政権の時期だが、『米軍、中国に「攻撃せず」と連絡 トランプ氏暴走に懸念』という最近の琉球新報の報道が最近あった。トランプが暴走したらアメリカは困るのだが、日本の自公右翼政権の暴走こそ危険極まりないだろう。
もちろん麻生発言は単なる妄言ではない。浅井基文氏の文が参考になる。
憲法共同センターも麻生発言に対する批判的談話を発表している。
一日もはやく「戦争法(安保関連法)」の廃止を -麻生副総理の憲法を逸脱する「台湾有事『日米で防衛』発言」に抗議する -(談話)
中国が明日にでも台湾の武力統一しかねないような麻生発言は、国民に現在の中台関係の実態を歪曲して危機感を煽るものであり、安保法制に陽の光を浴びさせようとするとともに、いっそうの軍国主義化を図り、自衛隊の南西諸島への武力増強と防衛費の大幅増加をもくろんだものだろう。そもそも台湾の政権から事態が切迫しているなどとの表明は出ていない。
松田康博氏(東大教授)は、アジア政治外交史、東アジア国際政治研究、中国および台湾の政治・対外関係・安全保障、中台関係論、日本の外交・安全保障政策の専門家。台湾の政治家とも非常に関係の深い保守的な研究者のようだが、台湾問題を知るうえで傾聴に値する。
「中国は台湾を武力統一するつもりなのでしょうか。」という質問に対して「中国が台湾に対して武力統一を仕掛ける蓋然性は当面極めて低いと思います。能力が足りず、今後10年くらいは考えにくいでしょう。」(松田教授)と答えているのが注目される。出典はここ。
また、松田教授が日本記者クラブで行った2つの公演
が、われわれがあまり知らない台湾の北京との関係を知るために参考になるだろう。
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