2021年12月10日金曜日

2021年10月5日火曜日

猿田佐世さん(ND事務局長・弁護士)の講演

外交のしくみを紐解く -安保・原発・TPP・沖縄基地と日米関係の実像-

講演:猿田佐世(ND事務局長・弁護士)

アメリカ政界の知日派(ジャパンハンドラー)とは何者なのか。彼らはどのような人物で、どのようにして我が国の政治に深く関わることができてきたのか。我が国の対米従属の驚くべき実態を明らかにしている。

2021年9月15日水曜日

麻生太郎発言について

7月35日付けの「米中対立は日本の政権が積極的に煽っているのか?」と9月11日付けの「台湾有事は切迫しているか?」に続いて、極めて危険な麻生太郎発言を追う。

麻生氏は7月5日の講演で、台湾海峡情勢をめぐり「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と述べた。例えば朝日新聞の記事

これに対し、中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の定例会見で、麻生太郎副総理兼財務相が、台湾海峡情勢が悪化した場合に集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたる可能性に言及したことについて、「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、日本側に抗議したと明らかにした。朝日新聞7月8日の記事

また、駐日中国大使館報道官も、日本政府要人の台湾に関する誤った発言を強く批判した。在日中国大使館のWebページ

前トランプ政権の時期だが、『米軍、中国に「攻撃せず」と連絡 トランプ氏暴走に懸念』という最近の琉球新報の報道が最近あった。トランプが暴走したらアメリカは困るのだが、日本の自公右翼政権の暴走こそ危険極まりないだろう。

もちろん麻生発言は単なる妄言ではない。浅井基文氏の文が参考になる。

憲法共同センターも麻生発言に対する批判的談話を発表している。
一日もはやく「戦争法(安保関連法)」の廃止を -麻生副総理の憲法を逸脱する「台湾有事『日米で防衛』発言」に抗議する -(談話)

中国が明日にでも台湾の武力統一しかねないような麻生発言は、国民に現在の中台関係の実態を歪曲して危機感を煽るものであり、安保法制に陽の光を浴びさせようとするとともに、いっそうの軍国主義化を図り、自衛隊の南西諸島への武力増強と防衛費の大幅増加をもくろんだものだろう。そもそも台湾の政権から事態が切迫しているなどとの表明は出ていない。

松田康博氏(東大教授)は、アジア政治外交史、東アジア国際政治研究、中国および台湾の政治・対外関係・安全保障、中台関係論、日本の外交・安全保障政策の専門家。台湾の政治家とも非常に関係の深い保守的な研究者のようだが、台湾問題を知るうえで傾聴に値する。

「中国は台湾を武力統一するつもりなのでしょうか。」という質問に対して「中国が台湾に対して武力統一を仕掛ける蓋然性は当面極めて低いと思います。能力が足りず、今後10年くらいは考えにくいでしょう。」(松田教授)と答えているのが注目される。出典はここ

また、松田教授が日本記者クラブで行った2つの公演

  1. 『「米中争覇」(6) 台湾総統選と米中対立』(2019年10月10日)
  2. 『「蔡英文の台湾」② 2016.6.27』
が、われわれがあまり知らない台湾の北京との関係を知るために参考になるだろう。

2021年9月11日土曜日

台湾有事は切迫しているか?

共同通信客員論説委員の岡田充がメールマガジン「オルタ広場」に投稿した論文で台湾問題に関する随分参考になる論考を展開していて興味深い。氏の他の論文についても一読する必要がありそうだ。

2021年7月25日日曜日

米中対立は日本の政権が積極的に煽っている?

スガ自公政権がコロナ対策の政治利用の失敗と東京オリパラのごり押し開催に加えてスタッフに選んだ人物のホロコーストを弄んだり(K氏)障碍者を執拗に虐めたことを得々と語る過去がある(O氏)などでもうズタズタだ。内閣支持率も20%台(時事通信)にまで落ちて秋に迎える衆議院選挙は政権は崩壊を迎える危機にさえあるだろう。そのようなさ中に出された麻生の発言。中国との戦争の危機を煽って右派国民の中国への憎悪を掻き立てようとしている。事実、産経や読売は盛んに麻生発言を盛んに記事に取り上げている。--(1)

国内政治の状況が政権には極めて悪いので、中国との対立を掻き立てて国民の関心を中国との対立に向かわせようとしているのだろうか。しかしこれは極めて危険だ。中国軍との軍事衝突さえ起こりかねない。--(2)

そのような中、中国の元軍幹部のグループがつくったという動画が内外では注目を集めている。その動画からは麻生発言が中国側を酷く刺激していることが分かる。人民解放軍に対して日本を核攻撃することを求めているが、自衛隊の一部幹部や右派グループが中国との対立と憎悪を掻き立てているように、人民解放軍内部でも対日強硬姿勢が広がっているのではないかと懸念される。--(3)(4)

そうなると中国封じ込めどころではなくなる。

しかし、日本の政権や右派よりも、中国の政権はずっと冷静に行動しているように見える。尖閣諸島についてはすでに2014年に日中で合意された4項目(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_000789.html)があり、そのなかに中国側からすれば尖閣諸島の帰属問題は存在することを日本が認めているととれる項目が含まれていて、合意がなされて以来中国公船が尖閣諸島の領海に侵入するのが2隻から4隻で入るという定例化・儀礼化しているのが実態のようだ(このことをマスコミは国民に正しく伝えていない)。領海の外側の広大な排他的経済水域は、日本の船がどんなに漁をしていても中国公船に追いかけられるリスクはゼロになっている。(泉川友樹氏)--(5)

最近、本格化してきているバイデン政権の対中封じ込め政策は、日本が積極的に主導して米政権と軍部に嗾けている結果と考えてしまうが、それは考えすぎだろうか。

日本が対中戦争を仕掛けるのを阻止し、日本国民を戦争に巻き込まれないようにするためには、中国を挑発し続けるスガ政権を倒し3A+S(アベ・アソウ・アマリ・スガ)を政権から追い出すことが、どうしても必要であろう。

***

(1)--中国が台湾侵攻なら麻生氏「日米で一緒に防衛」…限定的な集団的自衛権に言及 (読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210705-OYT1T50277/

(2)--「非常に危険」と中国反発 台湾有事巡る麻生氏発言に (共同通信)
https://nordot.app/785089574961299456?c=39546741839462401

(3)--日本が台湾有事に介入したら核攻撃、中国で拡散した動画の危険度 中国の日本核攻撃論の読み方 (JBpress)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66147

(4)--China Vows to Nuke Japan
https://youtu.be/ClvwgnMDMuA

(5)--尖閣諸島をめぐる日中関係は「緊張していない」と断言 専門家が喝破する現状と未来 泉川友樹(琉球経済戦略研究会事務局長)(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/291984

2021年7月16日金曜日

PFOS、PFOA そしてPFAS

琉球新報でPFOSを検索すると
https://ryukyushimpo.jp/search.html?keyword=PFOS
のように出てくる。記事によってはPFOSの用語で出ているかと思えばPFASと出ている記事もある。PFOSとは何か、PFASとは何か、調べてみた。

沖縄県衛生環境研究所の「衛環研ニュース第35号」の
https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/news/documents/1802_news35_pfos.pdf
が分かりやすいかもしれない。

それにしても米国内で使用が禁止になっているPFOSの入っている泡消火剤を嘉手納基地・普天間基地や横田基地でも米軍は大規模に使い基地外に垂れ流していた。発がん性があるだけにそれを知った基地周辺の住民のあいだに大きな不安を抱かせた。基地内で無害化の処理をするより基地外の公共下水施設へ放出する方が経費がかからないからと米軍は驚くことを言っているが、日本国民の健康を一顧だにしない占領軍まるだしの考えだ。

✱PFOS=ペルフルオロオクタンスルホン酸(PerFluoroOctaneSulfonic acid)

  • 塗料のレベリング剤 (塗膜の平滑化)
  • 消火剤 (水成膜泡消火薬剤や中性強化消火液)
  • 殺虫剤
  • 半導体リソグラフィの反射防止剤

などに使われる界面活性剤で、人間や野生動物が PFOS による免疫異常の危険に晒されている恐れが強いことが明らかになった。一部の野生動物でも、2006年1月の調査で卵や肝臓、腎臓、血清または血漿から高濃度の PFOS が検出された。動物実験により、PFOS はがん、発育遅延および発育阻害、内分泌攪乱、さらには周産期死亡の原因となることが明らかになった。特に周産期死亡は動物実験においてもっとも重大な結果であった。

このような生物環境に対する毒性から残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約) 議定書に環境汚染物質としてPFOSは加えられた。日本でもPFOS が第一種特定化学物質に指定され、製造および輸入が許可制となり、事実上禁止された。

✱PFOA=ペルフルオロオクタン酸(PerFluoroOctanoic Acid)

  • ポリテトラフルオロエチレン合成における添加剤
  • 塗料のレベリング剤
  • 水性膜形成泡消火剤、界面活性剤などに用いられる。

以前はフライパンのテフロン加工や食品包装紙の撥水加工に使われていたことがあるが、PFOSと同様な性質を持つため、今では化学メーカーの製造が停止されている。

✱PFAS=パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称。
PFOSとPFOAはその主要な物質である。

2021年6月4日金曜日

宮古島ミサイル基地の保良弾薬庫

  • 沖縄タイムス:2019年10月7日

    "陸上自衛隊が宮古島市城辺保良の採石場「保良鉱山」に弾薬庫建設を計画している件で7日午前6時半ごろ、資材を積んだトラック1台が同鉱山の敷地内に入った。"

  • 琉球新報:2021年4月2日

    "沖縄防衛局は3月31日、宮古島市城辺保良で整備を進めている保良弾薬庫について、施設の一部(弾薬庫2棟)が完成したと市に報告した。"

  • 宮古新報:2021/04/06

    "城辺保良鉱山地区の保良訓練場の弾薬庫2棟がこのほど完成し、1日、陸上自衛隊宮古島駐屯地の隊員らによる警備が始まった。座喜味一幸市長は3月31日、報告で市役所に訪れた同駐屯地関係者らに説明会の開催を要求したという。これに対し防衛省関係者は5日、省として一般市民への説明会を行う予定がないことを明らかにした。"

  • RBCニュース:2021/05/17

    "沖縄防衛局は宮古島市の陸上自衛隊・弾薬庫に今週、ミサイルを搬入する予定です。搬入ルートなどは非公開としていて、市が公表を求めています。

  • しんぶん赤旗:2021年6月3日

    "沖縄県宮古島市の陸上自衛隊駐屯地(陸自ミサイル基地配備・弾薬庫建設)は2日、地対空ミサイル、対艦ミサイルを含む弾薬を搬入しました。"

    "陸自、空自がそれぞれ1日夕、「夕刻時におけるヘリの飛来について」を分屯基地に隣接する自治会に通知しましたが、市には「そのような事前通知はなかった」(秘書課)といいます。"

    "通知にある「物品」について防衛省は本紙の取材に「ミサイル、弾薬かと問われても答えられない」と内容の公表を拒否しました。"

  • 沖縄タイムス:2021年(令和3年) 6月4日

    "沖縄防衛局は25日、宮古島市城辺保良の陸上自衛隊「保良訓練場」で住民見学会を行い、施設周辺の保良と七又両集落の住民約60人が、弾薬庫前で説明を受けた。自衛隊側から弾薬庫の安全性についての明確な説明はなく、住民から「無駄な時間を過ごした」との声も上がった。"

2021年4月16日金曜日

中国の一帯一路構想と米中対立

ご存知のことでしょうが、ちょっとしたメモです。

米中対立の根底にあるのは、中国の経済的世界制覇戦略にある。2013年に中国習総書記が提唱した一帯一路構想がそれであり、中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する壮大な計画である。

一帯の鉄道網が図に示されている。

中国が弾圧をしているとか収容所に強制収容しているとか強制避妊をさせているとかウィグル族の問題が色々と非難の的になっているが、その中心都市のウルムチは中国の西の辺境の地で隣のカザフスタン共和国の国境まで僅か460kmという距離にあり、陸路でヨーロッパにつながる要衝の都市であることがわかる。

ウィグル族の実態はどうであれ、バイデンのウィグル問題についての中国攻撃は、世界各国に中国との経済交流を制限させようとする極めて政治的意図を含んだものだろう。

シルクロード経済ベルトでは、カザフスタン鉄道によると、中国から⻄(欧州、中央アジア、ペルシャ湾岸、コーカサス)に向かう鉄道貨物量については、2019年は年初予想を⼤きく上回り、前年⽐54.4%増の359万9,128トンとなった。東⾏き貨物(中国向け)も含めた同駅全体の鉄道貨物輸送量(2019年)は420万9,004トンで前年⽐55.6%増だったと発表している。

ドイツではすでにアジア産品の大規模小売店ができているようです。

シルクロード経済ベルトを経由する中国の貿易を、アメリカ(や日本)は抑える足場がないので、全く抑えることができない。

アメリカ太平洋軍がアメリカインド太平洋軍と編成替えしたのは2018年で、これは中国の海上シルクロードをターゲットに収めたもの。それに先立って2016年に安倍が「自由で開かれたインド太平洋」とぶち上げたスローガンは、日本の専守防衛さえもかなぐり捨てて、インド洋にまで自衛隊の関与する地域を拡大してアメリカにすり寄るもの。

2021年1月12日火曜日

南西諸島の平和問題:わかりやすい新聞記事

南西諸島の自衛隊の軍事基地建設が急ピッチで進められている。新聞記事がその様子を伝えている。